赤潮を観察してみた
二度目の『風立ちぬ』を観たあと、海岸に寄ってみると赤潮が接岸していた。伊勢湾岸、津市の御殿場海岸、ヨットハーバーの近くだ。
防波堤に上がって見ると、赤潮の濃いところはこんなストラクチャーができていた。赤潮はプランクトンの集まりだが、生物群集としてまとまろうとする性質があるように見える。
車に積みっぱなしにしているクーラーボックスと水汲みバケツを持ってきて、サンプルを採取してみた。
梅干しを漬ける瓶に移して、必要かどうかわからないが、とりあえずエアレーションしてみた。
トマトジュースみたいな感じだが、海の香りがする。
エアレーションを止めると、赤潮のプランクトンは水面に浮いてきた。この濃度なら顕微鏡で簡単に観察できそうだ。
ヤフオクで買ったオリンパスの学生用顕微鏡で観察してみると……
75倍。丸っこい、お尻みたいな形の細胞が見えた。意外に大きい。
これならもっと低倍率でも観察できそうだと思って、ニコンの20倍実体顕微鏡「ファーブル」を使ってみた。岩石の観察に使えるように、ストロークの延長、伸縮式のステージ、LED照明などをとりつけたものだ。
ファーブルは見え味が素晴らしく、携帯性にも優れているので、これを首にさげて野山を歩けば充実した一日をすごせることうけあいだ。
20倍、視野の直径は11mmなので、細胞は0.3~0.5mmぐらい。かすかに赤い色がわかる。
検索してみるとノクチルカ・シンチランス(ヤコウチュウ、夜光虫)らしい。赤潮を構成するプランクトンとしては典型的な種のようだ。毒性はない。
夜になって、瓶に入れたサンプルが発光するか、試してみたが光らなかった。瓶を叩いたり、かきまぜたりして刺激を与えたのだが。
海岸に行ってみたが、海面は真っ暗なままで、波打ち際もただ白く泡立っているだけった。まだそこに赤潮があるかどうかもわからなかった。
浜では家族連れやヤンキーやブラジル系の人々がバーベキューや花火をして、まだ熱気の残る夏の夜をすごしていた。