野尻抱介blog

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大王崎でH-2B打ち上げを見た

http://gonzaburou.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/h2b.htmlを見て、三重県でもH-2Bロケットの打ち上げが見られそうだとわかった。天気もいいので夜中に車を飛ばして志摩半島の突端にある大王崎まで行ってみた。
 大阪とだいたい同条件だとすると、SRB-Aの燃焼区間は水平線からわずか3度顔を出すにすぎない。メインエンジンや2段目エンジンの燃焼は閃光を発しないので、視認は困難と思った。しかし仰角10度近くに達するのでもしかしたら、という期待もあった。

 到着したのは午前1時半頃。満天の星空だったが、水平線付近はヘイズがあって微妙な感じ。

 昼間はこんな眺め。この写真は2004年に来たとき撮ったもの。

 灯台の南側の岬に公園があって、ここを観測場所にした。

 打ち上げ10分前、種子島で取材している松浦晋也さんに電話して進捗を聞く。すべて予定どおり進行しているとのこと。今回は宇宙ステーションとのランデヴー・ミッションなのでローンチ・ウインドウは極めて狭いはずだ。30分延期とかいうことはなく、定刻に打ち上げられなかったら一日延期になる。
 定刻の2時1分、デジカメで動画撮影を開始し、方位角230度付近の水平線を7×50の双眼鏡で捜索する。待つことしばし、水平線より少し上に赤い熾火のような光が現れた。光はごく淡くて、10m先の蚊取り線香の光ぐらい。ほぼ垂直にじわじわと上昇し、途中で一度雲に隠れ、また現れた。やや東寄りにカーブしている。それから光が消えた。SRB-Aの燃焼時間は約2分で、ちょうどその頃だった。以後はまったく何も見えなかった。
 双眼鏡でかろうじて見える光なので、デジカメには何も写ってなかった。見え方は下の動画をさらに暗く、淡くしたような感じ。
D
 打ち上げから10分ほど経って、ふたたび松浦さんに電話する。「おめでとう、お疲れ様」と伝えた。3時半頃帰宅してTwitterのタイムラインを見ると、現地組の松浦さんやひびきさん、JAXA東京事務所組のsorae.jpさんからのtsudaり(Twitterによるリアルタイムレポート)がびっしり並んでいた。JAXA公式のストリーミング放送より30秒以上早く記者会見の要約が流れてくるのは圧巻だった。ニコニコ動画Youtube、SAC掲示板、twitpic、Flickrにも次々と鮮明な写真や動画がUPされる。
 いっぽうJAXAのストリーミングはというと、露出と追跡に失敗して「過去最悪の打ち上げ中継」と評される出来だった。この有様は、これからの報道を占うものかもしれない。
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