野尻抱介blog

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NT京都で「想像上の間宮羊羹(改)」を差し入れてきた



 ニコニコ技術部のイベント、NT名古屋で配った「想像上の間宮羊羹」がわりあい好評だったので、NT京都では「想像上の間宮羊羹(改)」を配ってみた。
 前回は和三盆を加えただけの羊羹だったが、その後研究を重ねて「間宮羊羹はここが違う」と仮説を立てるに至ったので、少々気合いが入った。
 『提督の食卓』でイラストを描いているれつまるさんにお願いして、間宮さんのイラスト(左)を描いてもらった。これをパネルにして、むさくるしいおじさんが給仕する図を少しでも緩和しようという考えである。

 今回のNT京都2015はこんな感じ。西院の春日神社境内と、隣接する春日幼稚園が会場で、ニコニコ技術部の才能を無駄遣いした作品がみっしり並ぶ。出展者は102名、来場者は420名になった。











 私も何度か出展しているが、今回は一般来場者の立場で参加した。ここ数年、Maker系のイベントでは「移動するゲリラ出展」「電子工作一辺倒でない何か」を模索しているので、心構えとしては差し入れというより出展に近い。
 視覚や聴覚、触覚を扱うものに較べると、味覚に訴える作品は少ないので、この分野を開拓してみたい気持ちもある。ただし本作を「ニコニコ技術部」カテゴリに含めるのは無理がある。いずれ動画にして投稿しようと思うが、カテゴリは「料理」にするだろう。

 NT京都では幼稚園の屋上でしらい社長の仕切りのもと、バーベキューするのが恒例だ。食材を持ってきた人が参加できることになっている。私も鹿腿肉の生ハムを持参した。
 出展者の多くはブースに張り付いているので、食事には不自由しがちだ。こうしたイベントで移動式の差し入れをするのはいいことだと思う。

 お盆に間宮さんパネルを取り付け、幼稚園の湯沸室で伊勢茶を煎れ、羊羹と魔法瓶、紙コップを乗せて出展者を中心に試食してもらった。
 羊羹は5本、約1.6kg、130片ぐらい用意した。
 お茶はすぐなくなるので、補充が面倒になり、途中でやめてしまった。出展者はたいてい飲み物を用意しているので、まあいいかな、と。

 試食の感想はというと、まあ作者が前にいるのだからリップサービスが入ると思うのだが、「おいしい」「思ったよりマイルド」「あまり甘くないですね」という声が多かった。
 コンビニなどで売られている羊羹の多くは水飴を使っている。私も以前、水飴入り羊羹を作ってみたが、即効性の甘さがあった。本作や海軍レシピ、とらや、村岡総本舗のトラディショナルな羊羹は水飴を使っていない。こうした羊羹は、最初はマイルドだが、噛んでいると溶けて口にひろがり、ずしんと甘くなってくる。遅効性の甘味である。
 本作のレシピは以下の通り。
 小豆(乾燥状態) 500g、上白糖1500g、棒寒天4本、塩2tsp。(tsp=ティースプーン)
 小豆は水洗いし、軽く茹でて茹で水を捨てる。これを2回繰り返してあく抜きしてから、指でつまんで簡単に潰れるまで1~2時間茹でる。茹でた小豆を裏ごしして、ゆで汁に残った餡を加える。餡を木綿布に包んで絞り、水分をできるだけ除く。
 餡に砂糖、塩、溶いて濾した寒天を加え、写真のような飴っぽい粘りと透明感が出るまで煮込む。焦げ付きに注意。
 煮込みが終わったら耐熱性の型に流し込む。今回はアルマイトの弁当箱を使った。

 完成重量は2kg、密度1.50となった。重量からすると、乾燥状態の小豆と砂糖の重量だけでできているようだが、小豆は濾しているので皮の部分が除かれている。そのぶん寒天や水分が入ったことになる。寸胴鍋の重量を事前に測っておくと、煮込み途中でも密度が測定できる。
 前の記事で書いたとおり、「想像上の間宮羊羹(改)」の特徴は密度だ。レシピそのものは「海軍主計兵調理術教科書」と同じだから、間宮羊羹を差別化する要素は密度以外に思い当たらない。ただし一流の和菓子職人が作れば、どこか別のところで差がつくのかもしれない。

 試食した人が写真を撮ってくれたので、以下に貼っておこう。

 撮影者は左から、目から鱗さん、きむにゃんさん、きりんさん。


 撮影者は左から、nicobowさん、tech_yutaさん、そむにうむさん。



 撮影者は三枚とも723916さん。「みくちゃ」アプリを使ってAR合成してくれた。