野尻抱介blog

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超乗合馬車2016レポート


 ニコニコ超会議2016で、また超乗合馬車を走らせてきた。馬のかぶりものをつけた人がひっぱる人力馬車だ。
 超乗合馬車はニコつくのまるなげ広場出展企画のひとつで、毎回ユーザー支援企画に採択されている。ところが超会議は去年からホール9~11を使うようになり、まるなげ広場もそちらに移った。馬車のコースや停車場は運営が決めるのだが、去年も今年もホール4~6の通路を周回させている。
 馬車のミッションのひとつは「まるなげ広場の出展作品・出展者を載せてアピールする」なのだが、ホールが離れてからはほとんど実施できていない。今回はテクノコスプレ研究会の電飾ドレス、ニコニコ学会ぐらいだ。
 そのかわり、主要企画が集まるホール4~6にはコスプレイヤーが多くいるので、この人たちを乗せることがメインミッションになった。そのほか、お隣で営業していた超マッスルタクシーやユーザー記者、プレッシャーイベント企画室のゾンビと自宅警備隊も乗せている。
 まずは動画でこのカオスな眺めを見ていただきたい。





 以下に私の撮った写真も載せるが、ピンぼけ・手ぶれが多くて申し訳ない。超会議会場はちょっと薄暗くて、コンデジでは苦しい感じだ。
 まず、初日の様子から。最初の2枚は入場前の様子で、練習走行の途中で川上会長を乗せたりしている。






































 青いTシャツの人たちは運営スタッフで、馬車には8人が派遣され、交通整理を担ってくれている。一日中人混みの中を先導するのでなかなかの重労働なのだが、リピーターの人もいる。
 巨大モニターの画面は混雑度マップで、馬車の位置も表示されている。このため、馬車にBLEビーコン用のスマホを積み、そのIDを運営に伝えている。
 続いて二日目の様子。













































 二日目、超会議閉幕15分前になると、運営スタッフは各ブースに整列して来場者を見送った。それから記念撮影をした。今年のコースはスプラトゥーン・ブースの前が混雑して、回避するのに苦労したが、トラブルもなく、無事に二日間を乗り切った。

 馬車に乗ってみたいと思った人に、簡単に指南しておこう。
 馬車は企業ブースの宣伝でなければ、誰でも無料で乗れる。ただし、コスプレや歌・楽器演奏、企画紹介など、なんらかのアピールをすることが条件だ。そのために音響装置と電光掲示板を装備している。
 ほかに車椅子の人やベビーカーの親子連れなども優先的に乗せている。馬車に乗ると、座っていてもまわりの人より頭ひとつ高い視点が得られて楽しいはずだ。
 馬車は予約もできるが、当日乗り場に来ても10~20分待つ程度で乗れる。馬車から見渡す超会議は絶景で、通路を行く人たちが笑ったり手を振ってくれたりするのが楽しい。
 アピールするものがない人も、馬(引き手)になることができる。馬役も常時募集している。通路にいる人たちはまず馬を見て笑うので、これが楽しくてリピーターになる人もいる。
 搭乗者も馬役も例年不足がちで、スタッフが通路でスカウトしたり、ブースに営業をかけたりしている。どうも馬車は誰でも参加できることがよく知られていないようだ。馬車に乗るのは選ばれた人ではない。望んだ人だ。今年は初めて待機列ができたが、長い列ではなく、せいぜい数人程度だった。停車場(馬車のりば)に来ればたいていすぐ乗れるので、来年はぜひ参加してみてほしい。

 超乗合馬車は今年で4回目になるが、毎年これをやるのは正直、つらい仕事だ。馬車を自宅に保管し、整備し、スタッフを取りまとめ、運営とやりとりし、超会議の二日前からトラックをレンタルして馬車を積み込み、幕張メッセと往復しなければならない。ユーザー支援企画とはいえ、支給されるのは実費だけ。事故は許されないから高いプレッシャーがある。自分が目立てたり、賞賛されるわけでもない。今年は腰痛にも苦しめられた。
 2007年頃からニコニコ技術部で活動していた古株の人たちはすっかり減ってしまった。ニコつくの窮屈な管理体制も気にくわないし、超会議はマンネリだし、自分たちも同じ企画を繰り返しているわけだから、そろそろ幕を引く時ではないか、と思ったりもする。
 だが超会議が始まって、搭乗者と馬役を揃えて馬車が動き出すと、そんな思いは吹き飛んだ。もう一度、上の写真を見てほしい。老若男女、なんとカオスな人々が集うことか。おまいらはいったいここへ、何しに来ているのだ?
 今回、馬車は二日間で51便、馬役と合わせて582人が参加した。その1便1便が例外なくカオスな光景になるのだ。超会議はマンネリだが、このカオスを保ったままマンネリ化しているのはひとつの奇跡だと思う。
 小林幸子スローロリス初音ミクもいいが、超会議でいちばん素晴らしいのは来場者だ。超会議2で初めて馬車企画をやった時は有名人を呼んだりしたが、その後はもっぱら一般来場者を乗せている。私はこの人たちをかき混ぜ、スポットを当て、ひととき主役になってもらうのが楽しいし、そうする価値があると思うから馬車を続けているわけだ。
 馬車を引いてくれた人、乗ってくれた人たちに改めて言いたい。
 おまいらのことはまったく理解できないが、大好きだよ。また寄ってくれ!

・馬車スタッフ、あずさんのブロマガ記事>> 超会議に来るなら、超乗合馬車も見てってよ!