野尻抱介blog

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『提督の食卓』を見て作った料理まとめ (2)


『提督の食卓』を見て作った料理まとめ (1) のつづき。

●「響がちょっと自慢の ビーフカレー」 (SPECIAL)

 写真左と中央はルーを作っているところ。このレシピでは先に小麦粉を炒め、後からカレー粉を加える。具は別の鍋で煮て、後からルーを投入する。使う鍋は二つになるが、ずっと合理的だと思う。盛りつけた食器は米海軍や海自で使われているメストレー。
 ただ、まだ粉っぽい感じなので、残ったカレーにあめたま(飴色に炒めた玉ねぎ)を加えてみた。これでぐんと美味しくなり、現代のカレーに近づいたと思う。

●「愛宕お姉さんの チキンシチュー ダンプリン」 (第三集)

 「ダンプリンとは何ぞや?」と思って検索してみるとダンプリング(dumpling)のことだった。いずれにしても、私は知らなかった。パンケーキの素みたいなものを作ってシチューに落とすと、パンケーキのようなふわふわしたものができた。シチューは申し分なく美味で、ダンプリンも主食を補って腹に溜まる。シチューの隣にあるのは自作のドーナツで、このレシピとは関係ない。

●「怒ってない鬼怒さんの 豚肉の卵揚げ」 (第二集)
 豚肉に卵と片栗粉の衣をつけてさっと揚げただけの簡単料理。最後に刻み生姜をトッピングするので、トータルの味は「タモリ式しょうが焼き」に近い。お弁当のおかずにぴったりだ。

●「艦隊のオアシス 間宮さんの 野菜のかき揚げ」 (第二集)
 カレー味の衣をつけるてんぷら。鯖の臭みを消すのにカレー粉を使った学校給食やおふくろの味を思い出した。
 悪くない味だったが、油の温度が低すぎて炒め物のようになってしまった。レシピに記載されている油温150℃は低すぎると思い、有馬さんに伝えたところ、この温度は検証ミスで、改訂するとのことだった。この場合は170~180℃くらいが妥当だと思う。

●「初春シスターズの チキンライス」 (第二集)
 本ではポテトポタージュもセットだが、この日はチキンライスだけを作った。筍や蕗を使うのが独特だが、材料を選ぶ料理ではない。普通においしいチキンライスができた。
 二日後、余ったチキンライスをオムレツで巻いて、戦艦大和のオムライスにしてみた。これも普通のオムライスである。グリーンピースを奇数にするのが唯一の識別点だ。

●「隠れお嬢様 由良さんの フーガデン ビーフ」 (第二集)

 フーガデン(フーカデン、フリカンドー、fricandeau)とは、ゆで卵入りのハンバーグみたいなもの。黄身をなるべく半熟にしたいのだが、液状だと半分に切ったときに流れてしまう。ぎりぎり固体化するぐらいに茹でて挽肉で包み、ダッチオーブンで焼いた。黄身は中心部にあったせいか半熟状態のままで、おいしく食べられた。

●「扶桑お姉様の 牛肉の五錦和え」 (第一集)
 和え物は普段作らないので、これは新鮮だった。大根やにんじんを柔らかくするにはそれなりの加熱調理が必要だが、塩もみすることでも簡単に軟化する。浸透圧のマジックである。
 作りやすくてご飯がすすむお総菜なので、また作ろうと思う。

●「磯波の超お手軽! 簡単ビーフカレー」 (SPECIAL)
 艦これではその可憐さと地味さゆえにひいきしている磯波だが、このレシピもダークホースであった。具は先に煮て、ルーは炒る工程を省略し、スープで溶いて具の鍋に入れる、という合理的かつ簡単なもの。
 見るからに粉っぽい、海の家のカレーみたいなものになった。ところが、解説にもある通り、これが意外に美味しいので驚く。具のサツマイモの甘味が効いているようだ。海軍式うどん粉カレーはちょっとしたことで一気に美味しくなる。これまではこくまろカレーなど市販のルーを使っていたが、あれは手を加えないものがベストと言われている。それより自分でルーを調合したほうがずっとやりがいがあるし、面白い。

 上はebayで買ったユーゴスラビア軍のメスキットで卓上炊飯のテストをしているところ。厚手のアルミ製なせいか、飯はとてもうまく炊けた。飯をプラスチック製の容器に移し、磯波カレーを温めて食べてみた。
 彩りが残念だが、磯波カレーはカレーうどんにもよく合った。
麺はファミマの冷凍讃岐うどんを使った。タピオカ麺だか何だか知らないが、歯ごたえがあってうまいので愛用している。
 どんぶり容器は深川製磁の有田焼「海軍丼」である。横須賀軍港めぐりの売店で買った。少々お高いが、手頃な大きさ・形なのと青い錨のマークが気に入っている。

●「くろがね館主人 伊勢さんの アサリのホワイトシチューそうめん」 (第一集)
 コンテストで一等賞を取ったレシピがこれである。三重県人の私としては「県の艦」伊勢さんの優勝は嬉しい。
 ホワイトシチューを素材から作るなんて、こんなことがなければ一生なかったかもしれない。やってみると別に難しくなく、コンソメスープに牛乳・クリーム・小麦粉を入れるだけでそれらしくなる。アサリの旨味がよく出て、そうめんともよく合い、とても美味しい料理になった。
 台無し感のある盛りつけは米軍のメスキットで、ご飯が少し余っていたのでそれもセットした。しかしこのメスキット、たいていの料理に対応できるし、直接火に掛けて加温したりできるので便利なのである。
 左は『自分でつくる うまい!海軍めし』の潜水艦料理「ハム寿司」を陸自戦闘飯盒2型で作ってみたもので、副食にホワイトシチューを盛った。
 「うまい!海軍めし」と謳いつつ、史実重視でうまくないものもそのまま載せているのがこの本の面白いところだ。このハム寿司は、寿司飯にハムを混ぜただけの超シンプル料理で、それゆえ粋なところもあるが、こんなものばかり食べさせられていたら内地が恋しくなることだろう。潜水艦乗組員の苦労が偲ばれる。狭い厨房で電気烹炊器を使って作ったのだろう。
 ここまでの料理を振り返っても、全体に駆逐艦の料理はシンプルで、戦艦のそれは手が込んでいる。およそのところ、給糧艦>戦艦・空母・重巡>軽巡駆逐艦>潜水艦、というカーストがあるような気がするが、どうだろうか。
 現在の海上自衛隊では潜水艦料理が一番うまいというから、隔世の感がある。第2回護衛艦カレーナンバー1グランプリでも潜水艦隊が優勝している。
 左はよこすか産業まつりに出店していた「居酒屋 空母信濃」の海軍カレー&潜水艦カレーのダブル盛りである。いずれも大変旨かった。

(まだつづく)