野尻抱介blog

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呉の艦これ妄想スポット・江田島編


 昨年6月、私は呉の海上自衛隊施設を二泊三日で取材し、数百枚の写真を撮ってきた。
 これは海上自衛隊呉地方総監部庁舎。赤レンガの由緒ある建物で、元は帝国海軍鎮守府庁舎である。

 Lv34の提督になったいま、それらの写真を見返してみると、当時は見えなかったものが(瞼の裏に)見えてくる。それらを以下に紹介しよう。

 まずは呉港の向かいにある江田島である。フェリーで20分ほどのところだ。

 小用港からバスに10分ほど乗ると、海上自衛隊幹部候補生学校および第1術科学校の正門に着く。
 元は海軍兵学校である。かつてエタジマといえば海軍兵学校と同義だった。帝国海軍で提督になった人のほとんどはここを卒業しているはずである。

 第1術課学校は毎日見学ツアーを開催している。私は知り合いの隊員の方に案内してもらったのだが、まずはツアーに合流させてもらった。ツアーガイドも元海上自衛隊員だ。
 これは大講堂。卒業式などをやる由緒ある建物だ。

 幹部候補生学校庁舎。かつての海軍兵学校である。
 その赤レンガはイギリスから輸入された高級品といわれるが、Wikipediaによると国産説もあるようだ。緻密ですべすべしていて、高品質なことは間違いない。

 赤レンガ庁舎の内部。学生によってぴかぴかに磨かれている。「海軍軍人はスマートであれ」という伝統で、海自の幹部候補生も身なりに気をつけるよう躾けられる。左に写っているとおり、あちこちに等身大の鏡があって、服装をチェックしている。
 提督の皆さんも艦娘に嫌われないよう、小綺麗な格好をするといいだろう。なお、私を案内してくれた尉官は見学に来ていた女子にモテモテで、「一緒に写真に写ってください」などとせがまれていた。
 海軍兵学校の教えに「五省」という訓戒があるので、提督なら憶えておきたい。

 一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか
   真心に反する点はなかったか (艦娘をもれなく愛しているか)
 一、言行に恥づる勿かりしか
   言行不一致な点はなかったか (そのレシピに嘘はないか)
 一、気力に缺(か)くる勿かりしか
   精神力は十分であったか   (中破のまま進撃したりしていないか)
 一、努力に憾(うら)み勿かりしか
   十分に努力したか      (補給や入渠、改修を怠っていないか)
 一、不精に亘(わた)る勿かりしか
   最後まで十分に取り組んだか (コンプティーク10月号はゲットしたか)

 見学ツアーから別れて、敷地内にある展示を見て回った。
 左は甲標的――千代田が急に使える子になった装備だ。
 特攻兵器ではないが、攻撃後の収容が難しく、乗員の損失が多かったようだ。


 訓練用のカッター(短艇)。江田島湾に面した岸壁にある。
 手や尻の皮をすりむく猛訓練・競技会が行われるところだ。海自幹部や海軍士官の思い出話によく出てくる。慣れるとカッター漕ぎは悪くないものだとも聞く。
 カッターの向こうに表桟橋が見える。卒業生を乗せた船が出ていくとき、「帽ふれ!」をやるところだ。

 戦艦陸奥の4番主砲塔。3年式45口径40センチ砲が2門ついている。45口径というのは砲身の長さと口径の比で、拳銃弾の「口径」単位とは異なる。
 手前の白いのは戦艦長門の主砲砲弾。

 89式40口径12.7センチ単装高角砲。艦これでは駆逐艦の定番装備だが口径比が異なる。睦月型では45口径、吹雪型では50口径の連装になる。

 92式4連装魚雷発射管。私の艦隊では大井さんが装備している。

 大井さんが愛して止まない93式酸素魚雷。長射程でアウトレンジ攻撃が可能とされていたが、なかなか命中せず、射程10km以下で使うようになってから威力を発揮した。
 誘導装置はついてないが、ジャイロコンパスを持っていて、あらかじめ設定された向きに直進する。初期状態に対するオフセット角も設定できるので、後ろ向きに発射してから変針して前方に向かう、という運用もできた。

 売店にはいろんな土産物が並んでいる。学生が使う制服や靴、日用品も売られていたが、コスプレに使えるだろうか? 見学者が買えたかどうかは確認していない。
 


 しめくくりに、校内の食堂で定番メニューのカツカレーをおいしくいただいた。
 私は海軍や海自ゆかりの場所で、いわゆる海軍カレーを食べるのを楽しみにしている。しかし私の結論するところ、海軍カレーとは要するに、昭和の時代に家庭やボーイスカウトのキャンプでよく作られた普通のカレーである。
 それは現在の濃厚でスパイシーなカレーよりもっと大味で粉っぽい、ボンカレーとかハウスバーモントカレーの世界だ。各地の「海軍カレー」のなかにはスパイスや具がたっぷり入った、おいしすぎるカレーがときどきある。
 江田島のカレーはどうかというと……おいしすぎるほどではなかった。

 今年8月に発売された提督のカレーだが、私は海自レシピでしまかぜカレーにアレンジして食べてみた。まあまあである。
 提督のカレーは700円ぐらいするが、二袋入っている。中身はボンカレーと大差ない。その点では海軍カレーらしいといえる。
 ステンレスの食器は米海軍や海自の科員食堂で使われているメストレー。ヤフオクで入手できる。

 脱線を続けるが、私は「間宮がきたぞー」定食なるものも開発した。肉じゃがと(たまたま残っていた)豆アジの南蛮漬け、デザートはもなかと羊羹である。
 海軍カレーと海軍肉じゃがは近縁関係にあって、同じ材料の味付けをカレー粉でやるか砂糖・醤油でやるかの相違しかない。


給糧艦「間宮」の存在は艦これを始めてから知った。
羊羹やアイスクリームまで提供していたとは素晴らしい。キャラデザインも素敵なので、正規の艦娘として運用できたらいいと思う。