呉の艦これ妄想スポット・ミュージアム&軍港編
江田島編のつづき。
呉港には艦船マニアが随喜の涙を流す展示がたくさんある。
左は大和ミュージアムの1/10戦艦大和。どこをとっても非の打ち所がない仕上がりだ。制作費は2億1千万円。太平洋戦争の惨敗を思うと、この展示にこれだけの費用をかけられるまでに日本が復興したことに感じ入ってしまう。
零戦や各種の砲弾、魚雷、特殊潜航艇なども展示されている。
呉工廠で使われた工具や図面など。工具の形は現在と変わらないものも多い。
大和ミュージアムの筋向かいには、海上自衛隊呉史料館、愛称「てつのくじら館」がある。屋外展示されているのは潜水艦あきしお(ゆうしお型)で、全長76m、水中排水量2900トン。
地上で見ると圧倒的な量感だが、艦これに登場する伊58潜水艦は全長109m、水中排水量3688トンだから、1.5倍くらい大きい。
じゃあ「あきしお」が小さいのかといえば、ロシアや中国で運用されているキロ級潜水艦と同じぐらいだから、通常動力潜水艦としては見劣りしない。国産潜水艦で初めてハイスキュード・スクリューが使われたクラスだが、これは防衛機密なので、呉で展示されているのは嘘スクリュー(写真上)だ。
左はあきしおの操舵装置。資料館から艦内に入れる。史料館には1フロアを費やして掃海隊の展示もあって、私には嬉しかった。掃海は地味だが、高度な技術とスキルを要する任務だ。
大和ミュージアムの前は「大和波止場」といい、実物大の戦艦大和上甲板の前半がマーキングされている。その大きさを実感して妄想にひたるには絶好のスポットだ。近くに深海潜水艇、初代「しんかい」も展示されている。深海棲艦つながりということで。
大和ミュージアムに隣接するカフェ「ビーコン」で「士官さんの海軍カレー」をいただいた。これはおいしすぎる系海軍カレーだ。サラダがついてない「水兵さんの海軍カレー」もある。
この店で大和ラムネも飲める。
呉の隠れ名物と教えられた、「メロンパン」の菓子パン。メロンパンはこの場合、店名である。呉港のターミナルでも買えるが、すぐ売り切れてしまうので注意。とにかく具が異常に多い。
大和ミュージアムから海に向かって左手方向は、海上自衛隊が使っている。国道487号線ぞいに坂を登ってゆくと「歴史の見える丘」という小公園があって、その前の歩道橋から整備中の護衛艦などが見られる。写真右は戦艦大和が建造されたドック。写真をクリックして拡大すると、「大和のふるさと」とペイントされているのが読める。
国道を下ってゆくと、海上自衛隊の埠頭が見えてくる。
この日は練習艦しらゆきの一般公開があったので参加した。
「なんだ練習艦か」などと思ってはいけない。元は立派な戦闘艦で、神風型、特型(艦娘)に続く歴代白雪の三代目だ。
練習艦隊は防衛大臣直轄部隊で、新人士官たちを乗せて世界を巡り、各国の祝賀行事に参加する。日本の顔といってもいい存在である。海上自衛隊の練習艦隊は海外でも人気があり、寄港地では押すな押すなの大賑わいになるそうだ。
しらゆきの艦内にあった係留図。
当時はなんとも思わなかったが、いま見ると艦娘だらけである。
「伊勢と響が錨泊だと?!」
「すみっこで川内と由良、何やってんの?!」
などと思ってしまうではないか。
隣の埠頭には護衛艦さみだれといなづま――五月雨ちゃんと電ちゃんが仲良く停泊していた。
新旧の「いなづま」を1/700のプラモデルで比較すると、こんな感じになる。手前は特型駆逐艦(未完成)、奥が海自のたかなみ型護衛艦で、船体はいなづまとほとんど同じ寸法だ。戦前・戦中の駆逐艦のスリムさがよくわかる。
知り合いの隊員にエスコートしてもらって、護衛艦いなづまも見学させてもらった。その縁があったから、艦これを始めたとき、最初の秘書艦は電ちゃんにした。いまも大事に育てている。
基地の外に出て、国道をさらに進むと「アレイからすこじま」という場所があって、潜水艦を目の前で眺められる。
写真左はくろしお型潜水艦で、艦娘の陽炎型駆逐艦「黒潮」とゆかりがあるといえばあるような。海自潜水艦だけでも三代目にあたる艦名だ。