野尻抱介blog

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狩猟者登録と猟銃所持の手続き開始

少し間があいたが、猟師への道を歩むシリーズである。過去のエントリは狩猟カテゴリを辿っていただきたい。

 第一種銃猟およびわな猟の狩猟免許を取得したのはいいが、これだけで法定狩猟が始められるわけではない。
 8月、農林水産事務所で免許状(写真)を受け取ったとき、最寄りの猟友会支部を教えてもらった。市内にある銃砲店が支部を兼ねていた。
 9月になって、その銃砲店に行った。「猟友会に入りたい」と言うと、狩猟者登録申請書と収入印紙納付書をもらった。登録料が1800円、狩猟税がわな猟で8200円。あと写真2枚が要るからトータル1万円ちょっと。
「それで、猟友会の申し込みは……」と訊くと、この手続きをすることで猟友会にも自動的に入会するそうな。

 狩猟関係の手続きは、なにかといえば写真と印鑑を求められて鬱陶しいのだが、そこはじっと我慢する。ともかくこれで、今季からトラッパー(わな猟師)としてデビューできることになった。
 銃について聞いてみると、散弾銃は中古で5万円くらいから。空気銃は中古があまり出てなくて、新品だと15万円くらいから、だそうだ。スリングショットが陳列してあったので、「パチンコ猟をする人がいるんですか?」と訊くと、「いやいや、農家の人が鳥を追い払うのに使うだけでね。パチンコじゃ当たりっこないし」という返事だった。

 9月下旬、猟銃の所持許可を取得する手続きに取りかかった。これは所轄の警察署に行かなくてはならない。まずは年に2回しかない「猟銃等講習会(初心者向け)」に出て、その日のうちに修了試験を受ける。これは知識試験だけだが、合格率は50%ぐらいだという。
 これに合格すると技能検定を受け、合格したら所持許可申請をする。申請が受理されるのに、三重県の場合は半年ぐらい、長いときで1年半待たされることもある。他県では2か月ぐらいだそうだが、三重県は特別厳しい。伊勢神宮によく皇族が来るので、県民に銃を持たせたくないらしい――と聞いているが真偽は定かでない。
 そういえば、思い当たるふしもある。私は数年前、地元モーターパラグライダー団体の代表をしていたことがあって、名簿を警察に提出してあった。それが今年になって、その名簿を頼りに警備課の巡査部長が家にやってきた。「今年は伊勢神宮遷宮の年で、皇族がよく来るので、そのときは上空を飛ばないようにしていただきたい」とのことだった。
 このとき、スリングショット猟の合法性について確認してみたのだが、「合法です」と即答だった。それを所持していたとき、軽犯罪法で逮捕することもできないという。要人が近くに来るときなど、状況が不自然なときは任意で粘るそうだ。軽犯罪法は適用範囲の広い法律だけに、そうそう振り回すことはできないのだろう。

 さて、まずは申し込み書類をもらうだけだから、と思って手ぶらで警察署・生活安全課に行ったのだが、それどころではなかった。
 「ではこちらへどうぞ」と、取調室に通され、差し向かいで職歴、家族構成、住居が一戸建てかどうか、等々質問された。作家だというと書名まで聞かれる。『南極点のピアピア動画』だと困惑されそうなので『沈黙のフライバイ』と答えておいた。
 「家族は猟銃所持に同意しているか」とも聞かれた。家族の同意は重要なのだそうだ。それから狩猟免許状のコピーを取りたい、と言われたが持ってなかった。
 警察官の態度は丁重で、不愉快になることはなかったが、「最初に来てもらったときは申し込みはできない決まりなんです。一度出直していただけますか」と言われたときは内心むっとした。「猟銃の所持許可は半年がかりで、途中にこれこれこんな関門がありますから、いちど帰って考え直していただくための規則です」というのだが、こっちは大の大人なんだから、そんなことは調べてあるし、覚悟もできているわけで。
「では明日出直せばいいですか?」
「できれば来週ぐらいまで考えていただけませんか」
「わかりました…」
 私は言われるままに撤退した。申し込みには写真2枚と収入証紙6800円ぶんが必要で、署に来る前に電話してくれと言われた。

 翌週、再び警察署に行った。
 狩猟免許状も持参し、コピーを取られた。
 申込書を2通、同じ内容のものを記入し、写真を貼り、捺印する。生年を西暦で書いたら昭和に直すよう言われ、二重線で消してそこにも捺印した。とにかく仰々しい。
 そして講習会で使う教本『猟銃等取り扱い読本』を受け取った。当日習っただけでは合格できないと聞いている。講習会は11月中旬だから、それまでにしっかり予習するとしよう。