野尻抱介blog

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わな猟師デビューの準備


 銃砲店兼県猟支部に行って、狩猟者登録証、狩猟者徽章、手帳、ハンターマップ、会報など、猟友会グッズを一式受け取ってきた。赤い徽章はわな猟で、網猟は黄、第一種猟銃は紫というように決まっている。
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 来月中旬にある猟銃等講習会の参考書、問題集も無料でつけてくれた。この講習会は即日修了試験があり、これに合格しないと先に進めない。狩猟免許試験とちがって、こちらは公安が運営しているから、落とす気満々である。講習は単調でつかみどころがなく、試験問題は意地悪だから、予習は必須だそうだ。三重県での合格率は50%程度と聞いている。私はおよそ試験というものが苦手だから一度や二度はリトライする覚悟でいるが、そのたびに半年先送りになってしまう。

 ともかく、わな猟師の資格は得たので、銃砲店で既製品のくくりわなを買ってきた。いくつか方式があるが、このタイプがいちばん設置しやすいと聞いた。
 ワイヤーは4mmで、途中によりもどしがついている。シリンダーの内径は12cmで、これ以上だと違法になる。

 設置方法はというと――シリンダーを、上縁が地面と同じ高さになるように埋める。ワイヤーを巻いたピストンをシリンダーにさしこむ。ピストンはごそごそだが、ワイヤーが落下を止めている。ワイヤーは首つりロープのようになっていて、スプリングで締まるようになっている。ワイヤーの反対側を立木に結び、仕掛けを枯葉などで覆えば設置完了となる。

 獲物の足のかわりに角材を使って、作動状態を示した。
 足がピストンを踏み抜くと、支えを失ったワイヤーの輪が瞬時に締まる。獣はこの状態になると、がむしゃらに引っ張るばかりで、自分でワイヤーを緩めて脱出することができない。
 ワイヤーの輪は直径4cm以下に締まらないようにストッパーがついている。作動しても致死性はないので、人間がかかっても危険はない。猟犬がかかることもあって、何日も放置すると死んだり負傷させることがあるので、頻繁に見回らなければならない。わなの作動を無線で伝えるシステムがほしいところだ。
 わなは獣が壊すことがよくあるので、自作する人が多いようだ。私も既製品を参考にして量産しようと思っている。わなは上限30個まで仕掛けていいことになっている。

 来月の狩猟解禁に先立って、ニホンジカやイノシシが通りそうな場所を探した。青山高原まで行ければシカはぞろぞろいるのだが、頻繁に見回らなければならないので、あまり遠くでは困る。近くの里山でフィールドサインを探した。
 林道から自然林の中に入り、稜線を登ってみた。ニホンジカの糞が落ちていた(左)。

 リョウブの樹皮を剥いだ跡。これもニホンジカの仕業だろう。樹皮は樹木の血管にあたる部位なので、全周が剥離されると、その木は枯れてしまう。周囲は、おそらくシカが食べたために下生えもない。こうなると雨滴が土壌を直撃するので、表土流出が始まってしまう。

 ヒノキの樹皮を掻きむしったような跡。硬い尖ったものでこすったような平行線が見える。クマの爪研ぎ跡か?とも思ったのだが、Twitterで聞いてみたところでは、シカの角研ぎ跡らしい。
 このあたりにシカがいるのは間違いなさそうだ。しかしここにわなを仕掛けたとしても、シカが12cmの落とし穴を踏むのは至難のわざに思える。もっと狙いを絞り込める、獣道が見つかるといいのだが。

 近くの樹にトロフィーカムというセンサーカメラを仕掛けてみた。人や動物が視野に入ると静止画や動画を自動撮影してくれる。昼間はカラー撮影、夜間は赤外線LEDで照明した白黒映像が撮れる。
 二日後に回収したが、残念ながら、遠ざかる自分と近づく自分しか写ってなかった。

 タヌキかなにかの糞だと思うがわからない。アケビの種らしきものが見える。

 林道沿いの日照のあるところなら、アケビはあちこちに生えている。自分も一個もいで、種のまわりのクリーム状のところをいただいた。砂糖を溶かしたような強い甘味が味わえる。

 この日のお弁当はこんな感じで。

 林道を降りる途中、自然観察をしているご婦人に「ホトトギスの花が咲いてましたよ」と教えられた。そこに行ってみると、ユリ科の妖艶な花がひっそり咲いていた。
 たとえ獲物がかからなくても、狩猟を通して自然の観察眼が養えたらいいと思う。山野草の花もいいのだが――肉が食えるとなればモチベも上がるというものだ。