野尻抱介blog

尻Pこと野尻抱介のblogです

漁港でヒドリガモを仕留め、漁師さんと分け合った


 日曜の午後、コメダ小倉トーストを食べながら読書などした。店を出ると外がまだ明るかったので、近くの漁港に寄ってスリングショット猟をしてみた。




 堤防のすぐ下にヒドリガモがいたので、死角から忍び寄った。強風が吹き荒れていて、水面にさざ波が立っている。それで警戒監視システムのS/N比が悪化したのだろうか、鴨はこちらと視線が通っても、すぐに逃げなかった。
 射程10mほどで初弾が命中した。鴨は即死せず、しばらくぼんやりしていた。

 止め(とどめ)撃ちをすると、鴨は動きを止め、舟だまりのほうへ漂流していった。車から磯釣り用の5.4mの柄のついたタモ網を持ってきて、岸から鴨をすくい上げた。




 すると近くに軽トラが止まり、年配の漁師さんが降りてきた。
「それ、なんやね?」
「鴨です。ヒドリガモ
「ほお。怪我でもしたんかな?」
「いえ、パチンコで仕留めたんですわ」
「ほー、当たるもんやなあ」
 漁師さんは私のスリングショットと鴨を交互に眺め、それから言った。
「その羽根、ちょっともらえんかな」
「あ、どうぞどうぞ。好きなところむしってってください」
 私は両手で鴨を押さえ、漁師さんは胴体上側の斑になったところと、三列風切羽根のあたりをむしってポリ袋に詰め込んだ。
「これなあ、毛鉤にちょうどええの。こういう羽根は伊勢まで行かんと売っとらんのよ」
 ここは津市で、伊勢市まで50kmほどある。
 相手の機嫌がいいので、聞いてみた。
「ときに、ここは鴨撃ち、やっていいですかね?」
「おー、どんどんやったれや! あっちの橋のたもとにも、いつも水鳥がたまっとるで」
「そうですかー。あとで行ってみますわ」
 スリングショット猟は合法だが、市民感情を考慮してなるべく人目につかないようにやっている。それでもこの漁師さんのように突然現れる人がいるので、そうなったら正直に話をすることにしている。だいたいにおいて農家や漁師さんは狩猟に理解があるようだ。

 仕留めたヒドリガモは体重739g。カルガモマガモの半分くらいで、カモ類の中では中型である。寸法はというと、開いたナイフが17cmなので、そこから見当をつけてほしい。次列風切羽の鮮やかな緑の部分は翼鏡(よくきょう)といい、カモ類に特有の模様である。
*次の写真はサムネイルではわかりにくいが、原寸で見ると少しグロいので注意。

 下腹部の羽根をむしって肛門を露出させ、そこからバードフックを突っ込んで腸を引っ張り出したところ。この処置をすると肉の温度がすみやかに下がり、傷みにくくなるのだそうだ。
 腸は途中で切れてしまうことが多いが、端が外に出てしまえばペーパータオルでつまんでどんどん引き出せる。腸とその内容物で43gになった。

 「山賊ダイアリー」1巻でマサムネ君が初めて腸抜きをして震え上がる場面がある。私も最初は気持ち悪かったが、今ではすっかり慣れて「お、きれいなピンク色だな」などと考える余裕ができた。狩猟残滓は持ち帰るのが原則なので、この腸もペーパータオルに包んで鴨といっしょに持ち帰った。

*スリングショット猟の合法性についてはこちらを参照のこと。