野尻抱介blog

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夏祭初音鑑に行ってきた


 大阪で先行開催されていた「夏祭初音鑑」を、ぎりぎり最終日に観ることができた。
 ボーカロイドをステージに投影するライブなのだが、ミクの日大感謝祭やミクパとは異なる、HATSUNE Appearance系列の最新版である。バンドの生演奏はなく、モーションは人間のモーションキャプチャを使わず、MMDで手入力されている。昨年、八景島シーパラダイスで公演されたものが好評だったので気になっていた。

 会場は大阪駅の北側にできたグランフロントの中にある。このあたりに来るのは久しぶりで、すっかり様変わりしていた。「間違えて京都駅に来たか?」と思ったほどだ。


 ナレッジシアターに入ると、ドミノピザのカウンターがあった。気合いの入った痛バイクも展示されている。

 公演は素晴らしいものだった。初音ミクのステージ投影では立体感、存在感、鮮明さで最高水準だと思う。
 投影の光学系はヘッドアップディスプレイを大きくしたようなもので、「ミクさん召還部」でもたびたび制作されている、ペッパーズゴーストというものだ。ステージ一杯に前傾した透明スクリーンが設置されていて、プロジェクターは天井側にあり、ミクはステージの床面に投影されている。その床面が透明スクリーンの表面で反射して観客の目に届く仕組みだ。
 ディラッドボードやアミッドスクリーンを使うものは、微粒子で懸濁を加えたスクリーンに背後から投影し、その前方散乱を見る形になる。ペッパーズゴーストは経路に散乱がないので、映像はきわめて鮮明だ。
 PAの武井さんに透明スクリーンを近くで見せてもらったが、軟質素材で、絨毯のようにロールして送られてきたという。表面はよく反射し、アルミ蒸着かなにかで薄くコーティングしてあるように見えた。スクリーンは鉄骨の強固な枠で囲まれ、強いテンションをかけてパンパンに張られている。よく見ると、隅のほうにゆるく皺の寄っている部分もある。音響が大きすぎると、スクリーンが振動することもあるという。
 ペッパーズゴーストと別に、ステージ背景部への投影や、レーザーによるエフェクターが併用される。場内は薄くスモークされている。
 ミクのレンダリングもステージにフィットするように調整されているように見えた。このような投影ライブでは両眼視差による立体視が機能しないかわり、明度や質感、空気感が決め手になる。

 まままさんによるMMDモデル、通称あぴミクは、大変かわいらしい。かわいらしさではMMD界随一といってもいいだろう。そのあぴミクが眼前に出現して歌い踊るということで中毒者も続出しているようだ。
 モデルについては「あぴミクはTVメイク、セガミクは演劇メイク」が持論だ。クローズアップの多いTVでは、役者のメイクはナチュラルになる。いっぽう演劇では、遠くからでも表情がわかるように、顔の部品を強調的にメイクする。歌舞伎の隈取りなどはその極端な例だ。
 あぴミクはクローズアップではかわいいが、遠くから見ると巨大なふたつの瞳しか見えず、表情がわかりにくい。セガミクはアップで見ると少々ケバいが、全身ショットではよく映える。
 いつも携帯している6倍の双眼鏡で見ると、あぴミクの眉や口も刻々と動いていることがわかった。時には小悪魔的な表情を見せたりもするのだが、伝わらないのは惜しい。
 あぴミクの魅力をしっかり伝えるなら、左右に補助スクリーンを置いて顔のクローズアップを投影すればいいかもしれない。

 私は14時からの公演を見たのだが、F岡さんのはからいで、20時からの最終公演もPA席の横で見せてもらうことになった。
 その間、ジュンク堂紀伊國屋書店で本の買い出しをやり、グランフロントの広場のビヤガーデンで一杯ひっかけた。
 近くにレンタサイクルがあったので利用してみたのだが、梅田界隈はどこも駐輪禁止で、むしろお荷物になってしまった。

 そして最終公演である。公演中の撮影は禁止だが、開演前ということで許されるだろうか。
 F岡さんが熱の入った挨拶をして、会場を沸かせていた。観客もリピーターが多いようで、ほとんどの人がサイリウムを使っていた。

 最終公演は熱狂のうちに終了し、ニコ生でのアンケートも好評だった。左は、そのアンケートを見てなごむPA席のスタッフ。

 この公演ではドミノピザの貢献も大きかったようだ。ボカロムーブメントをよく理解していて、ユーザー目線でキャンペーンを展開しているようである。
 私もピザを2ピース買ってクリア(ではないが)ファイルをもらった。公演に日参しているあまほさんからは、かくれんぼミクの景品を分けていただいた。
 夏祭初音鑑は、まもなく関東での公演が始まる。チケットはまだ余裕があるようだから、お近くの人はぜひ馳せ参じられよ。