野尻抱介blog

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狩猟免許試験(わな猟、第1種銃猟)を受けてきた

 狩猟免許試験の講習会に行ってきた の続きである。講習から約十日後に試験があるので、私はそれなりに準備して挑んだ。以下はその報告だが、狩猟免許試験は県単位で実施されるので、他県のことはわからない。これは三重県の場合である。

 講習会に出ると『図解 狩猟免許試験例題集』という175ページの問題集がもらえる。回答欄を隠しながらひととおり解き、間違えたところをおさらいする。講習会では出題実績のある問題を教えてくれるので、そこだけをやると数分の一の時間でできる。だが私はオタクなので、出題されない範囲も面白く勉強した。

 狩猟鳥獣の識別実技のために、わざわざ暗記カードを作ったりもした。「エゾライチョウなんて三重県にはいませんから出ません」と言われたが、狩猟読本のカラーページに載っている絵をすべてスキャンしてカード化した。鳥類についてはスリングショット猟をしているときに全部憶えたが、オタクなので完全主義なのである。(暗記カードのPDFファイル)

 銃器の取り扱い実技は最も不安なパートだった。私は銃器マニアではないが、資料としていくつかエアソフトガンを持っている。ただし拳銃ばかりで、猟銃にいちばん近いのは左のP90だ。残念ながら、拳銃よりは近いというだけで、水平二連散弾銃とはかけ離れている。これを毎日机に置き、持ち上げて「実包なし」、装填するふりをして「矢先よし」、構えて「キジを撃ちます」などと発声しながら練習した。

 そして試験当日。会場は講習会と同じ、三重県総合文化センターである。


 筆記試験は1時間50分の枠だったが、簡単で、15分で終わった。1時間以内にほとんどの人が記入を終えるので、11時頃に「退室してもいいですよ」とアナウンスされた。
 続いて適性検査を受ける。椅子に座り、立ち、手を真上に上げる、屈伸するなど、あたりまえの身体運動をする。それから簡単な視力検査をする。数分で終わった。

 12時半、筆記試験と適性検査の合格発表があるので、それまでの1時間ぐらいを昼食にあてる。近くにあるコメダに行ってクリームコーヒーを流し込み、英気を養った。
 試験場に戻ると、合格者の受験番号が張り出されていた。自分は合格していた。受験者はおよそ100人いて、欠番は二つぐらいだった。

 午後最初の実技試験は「距離の目測」である。10人ぐらいのグループに分かれ、試験官に引率されて、外の道路に行く。
 道に沿って、起点から10m~300mにわたって色分けされた7本の旗が立てられている。これを見極めて、「50m先の旗は何色?」という問い(4問)に答える。色弱の人でもわかるように、何番目の旗は何色かも説明される。講習会で何番目の旗が出題されるかを教えられるので、それを憶えておけば万全である。

 以後もグループごとに移動して試験場の外に並ぶ。
 第1種猟銃の鳥獣識別。ひとりずつ試験官と対面し、紙芝居スタイルで絵を見せられて回答する。暗記カードで特訓した成果があって、よどみなく答えられた。Twitterで「非狩猟鳥獣のとき、その名前を告げると減点」という県もあると聞いたが、試験官に確認してみると、そんなことはないとのこと。

 第1種銃猟の器具取り扱い実技。これはボロボロだった。講習会では元折れ式の銃がテーブルに開いた状態で置かれたが、本番では閉じた状態で置かれていた。私は原状復帰の考えで閉じた状態にして戻した。他の受験者は開いた状態にして戻したという。
 空気銃の取り扱いでは、弾を装填してから遊底を閉じ忘れた。ポンピングを始めてからそれに気づき、やり直した。

 わな猟の鳥獣識別。第一種とは出題範囲(鳥獣の種)が違うだけかと思っていたら、絵も違った。狩猟読本に載っていない、初めて見る絵である。これは想定外で、ちょっと焦ったが、すべて正答できたと思う。

 わな猟の器具の取り扱い実技――これもボロボロだった。禁止猟具を見分けたあと、箱わなをセットアップする。これは楽勝だと思って練習もしなかったのだが、講習会では簡単にできたセットアップができない。試験官が「ちょっと待って」と言って、引っかかっていたバーの位置を動かしてくれた。それでできたのだが、「できました」と言うと「ひとつ忘れてますよ」と言われた。前の記事にも書いたが、ネームプレートの設置を忘れていたのに気がついた。プレートを前に置いて完了とした。

 実技の試験官は講習会で見かけた猟友会の人で、こうやって助け船を出してくれる。銃猟の試験では「もう一度、最初からやり直してください」と言われた受験者もいた。そうなっても、自分で気づいて対処できれば合格なのだろう。「できません」と言ってしまうと31点減点で不合格になる、と問題集に書いてあった。

 これで試験は終わったが、私は二つの実技がまるで円滑にできなかったので、すっかり絶望してしまった。帰り道、珈琲屋らんぷ(中部ローカル)に寄ってシフォンケーキセットをやけ食いして自分を慰めた。

 一週間後に届いたのは、あな嬉しや、合格通知であった。
 免許証の受け取りは8月からになる。それをもらって狩猟保険に入り、狩猟者登録をすれば、今年の猟期からわな猟が始められる。(銃猟は猟銃の所持許可を得ていないので、来年以降になる)
 猟師として野山を跋渉できるように、体重を減らさなくてはいけない。ご覧の通り、理由をみつけては甘いものを食べる習慣を改めよう。そして禁煙にも挑もう。わな猟で煙草は禁物だそうだから。