野尻抱介blog

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ニコニコ技術部・手芸部のお祭り、NT京都2013に参加してきた


 日々、ネタ系ものづくりに才能と技術を無駄遣いしている人々のお祭り、NT京都に出展参加してきた。
 会場は京都市西院の春日神社境内と、付属幼稚園である。境内ではヒゲキタさんのエアドーム式プラネタリウム、改造モトコンポ、段ボール製等身大ガンダムなどが展示されていたが写真を撮り忘れた。
 私は出展参加なので、あまりじっくり見て回る時間がなかった。というか、出展者として申し訳になる程度の展示説明をした以外は、屋上バーベキューでごろごろしていた。このイベントが今年も開催されて盛況だ――そのことだけで安心し、満足してしまうのである。
 写真を撮った春日幼稚園二階の展示室からピックアップしてみよう。ここで紹介するのは出展作品のごく一部にすぎない。詳しくはエントリー一覧を参照のこと。

 私の展示物はスリングショット猟具と、それで捕獲した鳥の骨や羽根など。
 スリングショットに使った競技用高性能ゴム、Tan Super Sport を二人で綱引きして「切れるまで引っ張ってみる恐怖体験」を実施した。初めてやると怖いが、これを克服するとゴムの性能を極限まで引き出す度胸がつくようになる。

 時雨尚未知さんが作ってくれた、あーやさんのキーホルダー。立て膝姿勢でカプセルに乗ったときのイメージだそうな。

 お隣のきりんさん作、きのこ・たけのこ識別装置。サーボモーターで動くカメラで「きのこの山」「たけのこの里」を画像認識し、(現時点では未実装だが)きのこだけを排除する装置である。きのこたけのこ戦争の戦局を左右する新兵器といえよう。

 きりんさんが依託されて配布していた「プロ生ちゃん」グッズ。「プログラミング生放送」コミュニティのキャラクターだそうな。

 アサミさんの消しゴムはんこ、いろいろ。手前のメモ帳みたいなものは、消しゴムはんこで作ったパラパラ漫画で、はちゅねミクがネギを振る。ネギだけ独立したはんこを作り、角度を変えながらスタンプして作ったもの。

 めがねキラーンの人による電動だるま落とし。NT名古屋でも展示されていたが、若干改良されたようである。つっこみどころ満載の工作なのだが、見る人に何かを喚起する、天然というか、メタな味わいのある作品である。

 技術部のヒットメーカー、ユウタさん作の怪力マジックハンド、ソレノイドを使ったレシプロモーター、超軽量ミニ四駆、人を乗せて走れるミニ四駆など。

 みょこさんのハイパーカード。ハガキ大のカードで、片側をX軸で180度回転させると切り絵の図像が起き上がるカラクリが面白い。

 toriさんによるクロスステッチ刺繍で描いた星のカービィとその仲間たち。ドット絵のような味わいがある。左はDQ4消しゴムはんこ

 行記さんの美麗なシャドーボックス作品多数。随時レクチャーも行われていた。

 toodoodaさんのロボット。Kinectで人物を認識し、眼球でその人を追う。ロボットに見つめられる体験ができた。

 正午頃、屋上で白井さんによる恒例のバーベキューが始まった。参加者が各自食材を持ち寄るスタイル。

 グリルも白井さんの自作である。私は三重県人なので松阪牛を持参した。

 ABAさんの土鍋炊飯botで炊いたご飯が振る舞われた。確かにおいしく炊けていた。

 沖縄から親子で参加したMake誌ライターの鴨澤さん。持参したのは恒温調理器で、近年フランス料理で多用されているという。サーモスタットよりずっと精密に一定温度を保ち、食材を湯煎する。どこか故障したらしく、ハンダゴテをふるって修理中。

 恒温調理器で作ったローストビーフ。生の肉塊と調味液を真空パックし、60℃ぐらいの温度設定でじっくり湯煎にしただけ。
「なにこれ! 500円の安肉がめっちゃ旨い!」と驚きの声が上がった。私も食べてみたが、その通りだった。この調理法だと旨味成分が増殖するらしい。これはうちにも配備しなくては。

 ビールとバーベキューで御機嫌の鴨澤さん。しねんすさん作の箒ギターをかき鳴らした。

 白井さんによるアルミロウ付の実演。ここ数年で広まってきた技術だそうで、低融点のロウを使い、アルミ材を強固に結合する。温度が低い(300℃台)のでアルミ合金が熱で変質せず、ロウが軟化しない温度で使う限りは強度が落ちない。簡単なバーナーとステンレスのワイヤブラシがあれば誰でもできるそうな。アルミ溶接は素人には難しいので、これは朗報である。

 屋上ではレールガンの実験も行われていて、ときどき爆音とともにプロジェクタイルが発射されていた。


 今回の目玉企画、「千本桜」を自作楽器で合奏するセッション。10台の楽器が使用された。
 会場の反応が鈍い、誰もオタ芸をしない、という声もあったが、あのキテレツ楽器の寄せ集めで音楽になるかどうか、聴くほうも緊張と集中を強いられ、ペンライトを振るどころではなかったのである。結果はといえば……確かに千本桜だった。と思う。

 NT京都は設営も撤収も参加者で手分けしてやる。ゴミを集め、テーブル類を倉庫に運び、床を雑巾掛けし、トイレも掃除する。
 そのあと、集まったカンパを春日神社の賽銭箱に入れて二拍し、解散。懇親会に移動した。
 今年もまったり楽しく濃厚なひとときを過ごせた。主催者のakiraさん、春日神社の宮司さん、および出展者・来場者の皆さんに改めて感謝したい。
 NT京都はMakerムーブメント、ボカロムーブメントから派生して発展してきたのだが、根底にあるのは「技術をもって人を楽しませる」「技術をもって個人主義を貫く」意志である。
 テクノロジーは人を幸せにするとは限らない。だがテクノロジーは確実に人を自由にし、選択肢を増やす。NT京都はその自由を享受し、技術をもってさらなる勝手気ままをやろうという人たちの楽しい集まりである。

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