野尻抱介blog

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猟期が終わってしまった


 狩猟には猟期というものがあって、地域や対象鳥獣によって異なるが、本州ではだいたい11月15日から翌2月15日までだ。この期間を外れると、無許可の猟はできない。
 無免許のスリングショット猟ではあるが、私にとって最初の猟期が終わってしまった。だから昨日、今日と気合いを入れて出猟した。今日の獲物はハシビロガモ♀だ。野池にいたところを、木立の隙間から射程20mほどでヘッドショットを決めた。鴨は脳震盪を起こしたようで、ぼんやり漂流していたが、また泳ぎ始めたので止め撃ちをした。止め撃ちは肉や骨を痛めるので、できればやりたくないが、確実に殺しておかないと泳いで茂みに逃げ込んでしまう。

 ハシビロガモは岸から手が届かない、ちょっと面倒な場所に漂着した。回収には釣り竿と細引き(紐)を使った。渓流釣りに使う竿の先に、首つりロープのように結んだ紐をつけ、池に浮かんだ鴨の首に引っ掛ける。
 竿は華奢なもので、鴨を直接吊り上げることはできない。竿だけ先に引き上げ、それから紐をたぐり寄せる。

 残酷な構図だが、鴨を吊し上げたところ。タモ網のほうが確実だが、渓流竿と紐のほうが小型軽量で、一式をデイパックに入れて持ち歩けるのがいい。

 昨日は川でコガモ♂を仕留めた。射程30mほどで、弾は背中に当たった。すぐに舞い上がったので仕損じたかと思ったが、50mほど飛んだところで姿勢が崩れ、中洲の葦の茂みに落ちた。
 



 中洲に渡って近づくと、コガモは最後の力を振り絞って10mほど飛び、水際に墜落した。止め撃ちをしたら、もう動かなくなった。
 だいたいスリングショットの鳥猟はこんなパターンで、弾が体のどこかに当たった場合、25%ぐらいは初矢で即死、もう25%は2~3発の追い矢で息絶える。残り50%は半矢になって、手負いのまま逃げてしまう。これが多いかどうかは検討課題だ。もしスリングショット猟が普通以上に半矢を出すなら、野生動物愛護の観点からおすすめできませんという判断になるだろう。他の猟法と較べてどうなのか、狩猟者の話を集めてみようと思う。

 今季は30羽ほどの鳥を仕留めた。カルガモコガモキンクロハジロヒドリガモヒヨドリムクドリキジバト、それからコガモ♀と間違えて誤射したカイツブリ。獣類はスリングショットでは仕留められなかった。ロードキルノウサギを拾っただけだ。
 猟期が終わってからもフィールドに通って、繁殖の様子などをそっと観察したい。今季の経験から、鳥を見つけ出す眼力はちょっぴり身についた。左の写真にカルガモが2羽写っているのがわかるだろうか。土手の中程に遊歩道があり、常に人通りがあるが、そこからは死角になっている場所だ。
 あなたの身の回りでも、鳥たちはこんなふうに居場所をみつけて身を潜めているにちがいない。そして狩猟者に見つかり、弾を受けても、上の二例にあるように、ぎりぎりまで生き延びようとするだろう。
 私は30羽の鳥から、30通りの生のありさまを見せられた。このことは大切に、記憶に刻んでおきたい。そして奪った命につりあうことを遺したいと思う。

 柄にもないことを書いたので、最後に不遜なことを言っておこう。これは今日の狩りを終えて、素で思ったことだ。
「鳥たちよ――猟期が終わったいま、君らは何のために生きているのだ?」