野尻抱介blog

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海苔ばかり食べていた小柄なヒドリガモのレバニラ炒め風


 三日前に仕留めたヒドリガモの胸肉をレバニラ炒め風にしていただいた。
 この肉はカルガモのそれに較べると若干レバーぽい味なので、ニラとよく合うのではないか――と思ったらその通りで、すでに二、三度こうして食べている。
 腸の中身を調べたら海苔ばかりびっしり詰まっていて、解体中もかすかに海苔の香りがした。調理後はほとんど感じなかった。レバーぽさもひかえめで、総じて癖のない、おいしい肉だった。生きていた時の様子や環境を知って調理するのは面白いものだ。
 なお、三日前の記事 では岩海苔と書いたが、養殖海苔かもしれない。すぐ近くの海岸に海苔粗朶がたくさんあったので。

 捕獲した時のことを書いておこう。ヒドリガモは幅200mほどある某川の河口部左岸に群れていた。スリングショットを使い、右岸から射程35mほどで撃ったら首の根元に命中した。いっとき、まわりの水が血で赤く染まった。
 この距離では、体のどこに当てるかは決められない。急所に当たったのはまぐれだ。カルガモに較べると、ヒドリガモは体重が半分くらいしかなく、一発で射殺できることが多い。この個体はヒドリガモのなかでも小柄なほうで、体重は585g、全長42cmだった。

 鴨は30秒ほどで動きを止め、漂流し始めた。
 風向きが悪く、岸からゆっくり離れていく。風向を見定め、風下側の右岸に移動した。河口部は流れがゆるいので、漂流方向はほとんど風向きで決まる。

 よく「川の中の鳥をどうやって回収するの?」と聞かれるが、水鳥は死んでも浮いているので、待っていればたいていどこかの岸に漂着するものだ。それを拾えばいい。
 一時間ほど待たされたが、ヒドリガモは500mほど漂流して、無事右岸に到着した。

 無事というのは、以前、漂流中の鴨がカモメに襲撃されたことがあったからだ。そのときは威嚇射撃で追い払った。カモメは狩猟鳥じゃないので当ててはいけない。今回は有効射程外を流れていたので、威嚇できるかどうか心許なかったが、幸いカモメは現れなかった。