野尻抱介blog

尻Pこと野尻抱介のblogです

ニコニコ大会議名古屋と金星ミク・プロジェクト

 ドワンゴの齋藤Pから名古屋のニコニコ大会議に出演しませんか、という話が来たのは昨年の9月下旬のこと。二つ返事で承諾したものの、何をするかはずっと放置状態だった。
 10月になって齋藤Pから「わんかっぷP(わP)も出演するのでコラボしては」という提案があった。11月になって大須の第一アメ横でわPと待ち合わせ、コラボの相談をした。相談はすぐに終わって、後はわPに大須を案内してもらって楽しく飲み食いしたのだった。

 中華料理『咲咲』にあった、わPのボトル。この店の酢豚は絶品である。



 咲咲の上の階にあるガンダムバー『SIEG ZEON』。店内はわPグッズだらけ。

 わPとどんな相談をしたかというと、「我々は二人ともライブパフォーマンスに向いていない。かといって動画を作って見せるのでは面白くない。尻Pの作った“空飛ぶパンツ”にわPが絵を描き、それを客に向かって飛ばすことにしよう」となった。
 わPは色紙やボールにも絵を描いた。私は三機の“空飛ぶパンツ”を作った。絵を描きやすいように背骨のない構造にして、MDF材で専用の下敷きを作った。
 わPは下敷きにも絵を描いてくれた。これは私の宝物である(写真)。

 1月11日の大会議当日、正午前に会場入りした。“空飛ぶパンツ”の飛行調整をする。
 ボトムラインは由緒あるライブハウスだが、パンツを飛ばすのには向いてなかった。庇のように張り出した二階席が邪魔で、旋回飛行させる充分な空間がない。二階席の前縁に照明器具が並んでいて、ここに機体が引っかかると火事になりそうなので、あまりふわふわ浮くのも危ない。空調のせいで乱流もある。そんなわけで、少々あっけないがストレートに客席に飛び込むように調整した。

 ひろゆき氏と川上会長が来場したので、いろいろ質問したりした。全部ここに書くわけにはいかないが、できる範囲で記しておこう。

Q:私のプレミアム推進アピールはどれくらい効果があったか?
A:効果は詳しく分析した。○○人ぐらいと推定している。

 伏せ字にした人数の一年ぶんの支払額総計は私の十年分の収入に匹敵する。思いついて2時間で作ったページがこんな効果をもたらすとは、ITビジネスとは面白いものだ。私は「寿司でもおごってください」と言っておいた。

Q:御三家隔離の理由は?
A:ビギナーのため。たとえば「音楽」カテゴリに初音ミクばかりずらずら並んでいるとビギナーが入りにくい。

 御三家隔離は私にとってあまり面白くない処置だったが、カテゴリタグが複数化されたので特に実害は感じていない。なお、カテゴリ・グループ名は「殿堂入り」などと白々しいものにせず、「隔離」としてほしかった。ニコニコ動画の文化において「隔離される」なんて、まんざらでもない気分ではないか。

Q:「とりあえず生中」など、テレビの真似事みたいなことをしているのは何故か? 運営はCGMから離れようとしているのか?
A:CGMの出口とすべく、ネット上のテレビ局のようなものを構築している。いくら好きでしていても、収入にならなくてはCGMは続かない。「とりあえず生中」はテレビ界の人材とのつながりを得るためでもある。

 以上はかなり要約しているのでニュアンスが違うかもしれない。
 リハーサルが始まった頃には外に来場者が大勢集まっていて、列は今池交差点まで続いていた。入場者は600人に達し、過半数が女性だった。これは「同伴一名OK」が効を奏したらしい。

 以下、当日の写真など。



 CGMといえば、前回のエントリで述べた金星に初音ミクを送るプロジェクトである。当初の期日内に1万人を超す署名が集まり、サイトの国際化に続いてピアプロでの緊急コラボが実現して70点近いイラストが集まった。JAXAからは3枚ものアルミプレートが提供され、全メッセージと全イラストが掲載されることになった。まず大成功と言っていいだろう。
 このプロジェクトを立ち上げた超電磁P、ウェブサイトを作ってくれたもろへいや氏、各国の言語に翻訳してくれた皆さん、テキストと画像の合成に携わったニコニコ技術部の皆さん――多言語のビットマップ展開が予想外に難しかった――(株)クリプトン、JAXA宇宙科学研究本部対外協力室、Twitter等で話をひろめ、署名してくれた皆さんにはただ感謝するほかない。SOMESATでは今後も金星探査機「あかつき」を見守り、注意喚起していく予定だ。

 ピアプロでの選考結果はこちら>piapro(ピアプロ)|SOMESAT「あかつき」支援部×ピアプロ緊急コラボ 

 考えることは同じ?で、ピアプロでのコラボが始まってまもなく、経済産業省も同様のプロジェクトを開始した>piapro(ピアプロ)|経済産業省事業「たんすケータイあつめタイ\(^o^)/」×ピアプロコラボ こちらも順調にイラストが集まっている。例によって頼まれもしないのに動画まで作られている。
D
 かように強力な動員力を持つ「初音ミク・コラボ」現象の分析は、右の論文が詳しい>動画共有サイトにおける大規模な協調的創造活動の創発のネットワーク分析 ニコニコ動画における初音ミク動画コミュニティを対象として(PDF)