野尻抱介blog

尻Pこと野尻抱介のblogです

ピアピア動画ワールドの歩き方


 拙著「南極点のピアピア動画」Kindle版が2013年2月28日まで半額セール、250円だ。おかげでKindleストア全体でもベストセラー4位に入っている。
 もちろん文庫版もあって、書店ではたまにラノベ棚にあるが、普通はハヤカワ文庫の国内作家コーナーにある。このコーナー自体がない書店も多いのだが。
なんかミクみたいなのが表紙の、ふざけたタイトルの本がある」と思う人も多いらしいので、この機会に紹介&宣伝しておこう。
 表紙を描いたのは、初音ミクの公式イラストでおなじみのKEIさんだ。しかし描かれているのは「あーやきゅあ移動体」、通称あーやさんという、作品世界のキャラクターである。
 
 本文は「ピアピア動画シリーズ」という四つの連作短篇SFからなっている。SFといっても私の本は読みやすいことで定評があり、1~2時間でさくっと読めるから、心配はいらない。
 これはほぼ現代の話だが、パラレルワールドになっていて、ニコニコ動画→ピアピア動画、ドワンゴ→ピアンゴ、初音ミク→小隅レイ、ファミリーマート→ハミングマート、と固有名詞が置換してある。ただし津田大介、ITメディアなど、そのままの名前で登場する人物や組織もある。
 クリプトンの伊藤社長はこの「初音ミク亜種」を快諾してくれた。それどころか「初音ミクそのまま使ってもいいんじゃない?」と言ってくださったが、それはミク廃としてあまりに畏れ多いし、現実と小説の乖離を気にするより、最初からパラレルワールドにしたほうが心安らかに向き合えると思い、このようにした。

 四つの短篇のうち「南極点のピアピア動画」と「歌う潜水艦とピアピア動画」は星雲賞国内短篇部門をいただいた。(半額セール中なら)250円で読める本に星雲賞受賞作が二つも入っているのだからお買い得だ。
 本書は別のエントリでも述べたとおり、ニコニコ動画とボカロ・ムーブメントの二次創作である。というよりn次創作の1ピースと考えることができる。
 したがって、本書を読めばその先にあるn+1次創作を楽しめるわけだ。

 動画なら南極点のピアピア動画タグで検索すると一覧が現れるが、おすすめは先にも紹介したこの作品だ。


 これは小説に登場する場所を訪ねた車載動画。よく調べてくれている。


 ニコニコ技術部の動画がお好きな方には著者自ら実施した検証動画がある。


 作って楽しむピアピア動画の世界。


 漫画で楽しむピアピア動画なら、ニコニコ静画で読める。
 Project AHYA/ぷろじぇくと あーや 四方山哲


 小説で楽しむピアピア動画なら、なんとドワンゴ川上会長自ら書かれた作品がある。これが皮肉抜きに堂々のSFで、謎の感動をともなった傑作だ。
飛翔体とピアピア超会議
3つの願いとピアピア動画Zero

 著者による解説は、はてなダイアリーに書いたものがある。
『南極点のピアピア動画』著者解説
SFマガジン8月号 初音ミク特集『歌う潜水艦とピアピア動画』について

 このほか、pixivやニコニコ静画にイラストがあるので、「南極点のピアピア動画」で検索されたい。
 引き続き、ピアピア動画のn次創作は大歓迎である。
 そこの君も……もたれあって幸せになろう。