野尻抱介blog

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宅配ボックスの作り方


 オタクにとって宅配は生命線だ。その宅配業界が音を上げかけている。原因のひとつは再配達によるオーバーワークだという。私はひとり暮らしで、昼間は家を空けていることが多いから、再配達させてしまうことが多い。なんとかしなくては、と前から思っていたので、一念発起して宅配ボックスを制作・設置することにした。
 しかし宅配ボックスとは、自作して通用するものなんだろうか?
 ネットで調べたり、家に来た配達ドライバーに聞いてみた結果、宅配ボックスの要件は以下の通りだとわかった。
(1) 施錠できる箱であること。
(2) 宅配ボックス自体が盗まれないよう、固定されていること。
(3) 印鑑は不要、もしくはあったほうが良い、とドライバーによって意見が揺れていた。
(4) それが宅配ボックスであることを示す掲示をすること。
(5) 郵便小包や書留郵便物などは規則上、宅配ボックスを使えないので、対象外となる。

 そして作ったのはこんな箱だ。高さ90cmほどで、大きさの違う2ドア構造になっている。上の小さい区画はAmazonのよくある段ボール箱が入る大きさ。下の大きい区画は旅行鞄ぐらいのものが入る。
 箱の外側にはシャチハタネームをピンクの紐でぶら下げた。これが使われているかどうはわからない。

 宅配ボックス設置から10日ほど経って、帰宅した私を待っていたのは不在通知であった。ドライバーは玄関に置いた大きな緑の箱に気づかなかったらしい。
 そこで呼び鈴の上に、写真のような掲示を出した。

 設置から15日め、ついに最初の獲物がかかった。「宅配ボックスに入れました」と記入した不在通知がポストに入っていた。私はひとり玄関でガッツポーズを取ったのだった。

 宅配ボックスとして、戸外に設置するストッカーを利用する人もいるようだ。施錠できる金具がついていれば、盗難防止のチェーンを取り付けるだけで設置できる。ただし2ドアのものは見当たらなかった。
 いちからDIYしたい人の参考になるかもしれないので、私が作ったものを以下に公開しておこう。



 これはcaDIY3Dというアプリケーションを使ったものだ。一ヶ月間無料で試用できる。
 caDIY3D用のCADデータはこちらに置いた。アプリケーションから開いてみれば、ぐりぐり動かして確認できる。
 木工部分は木取り図のとおり、厚さ12mmの針葉樹合板2枚から作れる。この合板は1枚1000円~1500円ぐらいだ。テーブルソーや丸鋸を使って自分で切るか、ホームセンターの工作室にあるパネルソーで切ってもらうとよい。この段階では精度が重要なので、ハンドツールは使わないほうがいい。

 パーツの切断が終わったら、平らな台の上で、木工用ボンドを使って接着していく。釘や木ネジは使わない。それで不安になるなら、木工用ボンドの偉大さを知らないか、接着に手落ちがあったのだろう。
 接着にあたっては重しを乗せたり、紐でぐるぐる巻いたりして接着面に圧力をかけることが必要だ。圧力をかけたとき、ボンドが均一にはみ出してきたら良い兆候だ。はみだしたボンドを指でぬぐい、その指はペーパータオルでぬぐう。

 ヒンジは各ドアに二つずつ使う。
 取り付け位置は作図していないが、適当でよい。

 ドアの左側には、マグネットキャッチと南京錠をかける金具を取り付ける。
 金具の厚さのぶん、ドアを削ったが、金具のベース部分を左の端面につければこの加工は不要かもしれない。

 宅配ボックスは玄関の柱にチェーンで取り付けた。チェーンを通すため、本体に穴をあけ、ボックスの内部で南京錠を使ってチェーンを結んでおく。

 先述のとおり、外側にシャチハタネームをぶら下げた。この方式だと、不特定の人がこの印鑑を使えることになるので、理想的ではない。メーカー製の宅配ボックスは暗証番号を使うなど、もっと複雑な方法でガードしている。
 ともかく、これまでのところ、この宅配ボックスは数回の使用実績があるし、トラブルは起きていない。そして設置から1か月半が経ったいまも、再配達は一度も起きていない。
 宅配ボックスはいいものだ。旅行などで数日家を空けるときなど、その期間に配達がないように通販での購入をやめていたが、そんな気遣いをする必要がなくなった。
 そして何より、帰宅したとき宅配ボックスが施錠されていると、罠に獲物がかかったような高揚感が味わえる。自作したものが他者に使ってもらえるのは嬉しいものだ。