野尻抱介blog

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羽ばたき機ワークショップ

 先日開催されたMake:Tokyo Meeting 04(MTM04)で掲題のワークショップを開催した。以下は当日の様子をまとめた動画である。

 参加できなかった人のために、ここに必要な資料と説明を掲載する。
 この羽ばたき機FP-2、別名“空飛ぶパンツ”はいまだ発展途上にあり、充分な性能ではない。しかし図面どおりに作って後に述べる通りに調整すれば安定して飛行するし、20秒くらいは滞空するはずだ。
FP-2図面(PDFファイル)
FP-2図面(JW-CADファイル)――表示・印刷のためにはJW-CAD公式ウェブサイトからJW-CADをダウンロードする必要がある。これはWindows用フリーウェアである。


 各部の写真。骨組みの接着は木工用瞬間接着剤を使う。接合部に貼ってある白い紙テープはコピー用紙を切ったもの。
 骨格の大部分は3mmバルサ。尾羽部分にある「あばら骨」だけ1.5mmバルサを使う。
 ピアノ線にかぶせてある赤いものは、ありあわせの太い電線の被覆を使った。カー用品として売られている電装用の電線が手頃かもしれない。
 主翼のクランク、および動力クランクには手芸用のビーズを使って摩擦を減らしている。ビーズは手芸店や100円ショップにある。軸受け部分は写真には写っていないが、内径1mm〜1.5mmぐらいの真鍮パイプを使った。
 尾羽部分の骨組みは本体と分離している。これを#7の輪ゴムを使って2箇所で縛る。これによって尾羽の取付角を調整する。

 翼紙は書道用の和紙(雁皮など)か、ライトプレーン用に売られているものを使う。スーパーにあるロール状の薄いポリ袋(0.02mmぐらいの厚さ)を使ってもよいが、ラッカースプレーの塗料は乗らない。
 翼紙の前縁中央は写真のようにセロテープで補強し、支点の内側を3mm×48mm切り取る。これは主翼の骨が干渉しないようにするためだ。
 翼紙は対称軸で折り目をつけ、骨組みとセンターを合わせながら貼ってゆく。骨組みを組み上げた状態で、主翼前縁の骨から片方ずつ、接着剤を塗っては貼ってゆく。きれいに仕上げたければ骨組みに接着剤を塗って乾かしてから紙を置き、紙の上からシンナーを筆で塗るとよい。接着するのは主翼前縁と尾羽の「干」部分だけで、本体骨格と翼紙は切り離されたままにする。尾羽をとめる輪ゴムを外せば、コンパクトに分解できるようになる。

 ゴムはFAI Model Supplyからhttp://www.faimodelsupply.com/fai2.htmの1/8" 1lbを通販で購入した。これを70〜80cmに切ったものを何十本か用意し、チャック付きポリ袋に入れ、さらにシリコンオイルをティースプーン1杯ほど入れて袋ごと揉みほぐす。オイル(潤滑剤)はゴムどうしが擦れあって痛むのを防ぐためのもので、必ず使うこと。ここではタミヤのRCラジコンカー用「ダンパーオイル」を使った。


 ゴムは図の方法(Both)で結ぶ。三回結ぶことになるが、一回ごとに強く引き締めること。輪になったゴムは結び目を後ろのフックに合わせるようにして、6条(3ループ)させた状態で引っ掛ける。
 ゴムを瘤が一列に並ぶぐらいまで巻いて飛行調整する。頭から地面に突っ込む場合は尾羽部分の角度を大きくする。ピッチング(あっぷあっぷする動き)するときは逆に尾羽部分の角度を浅くする。
 安定して飛ぶようになったら、徐々にゴムの巻数を増やしてゆく。勇気を出して破断するまで巻いてみれば、限界がわかるだろう。ゴム一本で一日遊ぼうなどとは考えないで、予備をたくさん持参すること。ゴムは燃料だと考えて、フライト数回ごとに交換するのが大人のやり方だ。
 下に紹介した本は私のバイブルで、ゴム動力模型飛行機に関するノウハウが豊富な図解と共に網羅されている。上の写真も本書からの引用だ。

Rubber Powered Model Airplanes: Comprehensive Building and Flying Basics Plus Advanced Design-Your -Own Instruction

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