野尻抱介blog

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熊野沖で難破したフェリー

 熊野沖で難破したマルエーフェリー「ありあけ」を見てきた。事故発生(2009年11月13日)から15日後のことである。
 国道42号線を南下し、熊野市の鬼ヶ城トンネルを抜けると、それまでのリアス式海岸が終わり、全長26kmの七里御浜が始まる。漂着地点はそのちょうど真ん中あたりで、JR紀勢線で行くなら神志山もしくは紀伊市木が最寄り駅になるだろう。

 難破船は弧を描く七里御浜のどこからでも見えた。上の写真は鬼ヶ城付近の堤防から撮ったものだ。七里御浜熊野古道のひとつ「浜街道」で、世界遺産でもある。難破船はそこへ乗り上げた格好だ。
 海岸にそって走る国道42号線をさらに南下すると、密生する防風林(七里御浜国有林)によって視界が遮られるが、ところどころ川で途切れるところから船が見える。
 御浜町に入ったところで見当をつけて路肩に車を止め、防風林を抜けて堤防に上がると、船が1kmほど先に見えた。浜は立ち入り禁止になっているが、いまでは人影もまばらなので降りて歩いてみた。

 重油流出の様子はよくわからなかった。海も浜も、それらしい汚染は見当たらない。下に貼った海面の写真は変質した重油だろうか? ホンダワラのようにも見えるのだが。
 土地の人の話では、事故まもない頃は多くの油塊が浜に転がっていて、踏むとタール状の重油が靴に付着して面倒なことになったそうだ。船が座礁しているあたりの海底は砂ではなく岩で、いい漁場だという。
 周囲の船が海面に放水している。重油を拡散させているらしい。海上保安庁のヘリも現れて、しばらく上空にホバリングしていた。
 写真を適当に選んで貼っておく。不謹慎だが、私は非日常的な光景を見たくてここを訪れた野次馬である。そして期待通りの光景に大満足したわけだった。